八ミリ映画の魅力

たとえ写真好きであっても、今、写真をフィルムで撮る人が何人居るだろう?
ましてや、映画をフィルム撮影で、と、こだわる人は、年々少なくなっている。

わたしが八ミリフィルム映画という存在に出会ったのは2001年。

下北沢ラカメラという小さなギャラリーで、はじめて観る八ミリフィルム映画の美しさに衝撃を受けた。

それまで、自分が映画を撮るなんて、思ってもみなかったが、このラカメラでの、山田勇男監督、山崎幹夫監督と言う、八ミリ界の二大巨頭との出会いから、いつしか自分でも、八ミリフィルム映画を撮ってみたい、と憧れを持つようになった。

つげ義春原作山田勇男監督の35ミリ映画『蒸発旅日記』、山田監督の8ミリ映画『蒲団龍宮記』のお手伝いを経て、ラカメラでの初の写真個展『少年紀』。

漫画家すぎやまゆうことして活動していた自分が、漫画のペンを、カメラに持ち替えて、高遠瑛としての活動を開始。

宮澤賢治銀河鉄道の夜』をモチーフに2004年処女作『星の葬ホシノマツリ』仙台文学館宮澤賢治展にて上映、所蔵となる。

2005年コダックスーパー8賞受賞
2005年より、『星のカケラ』シリーズ連作『ALBIREO』の制作に入る。
そこまでは、八ミリ映画作家として順調に活動して来たと言える。

が、しかし、そこで、『富士フイルムが八ミリフィルムの生産の終了』という、晴天の霹靂のニュースが!汗
志を同じくする八ミリ作家らと共にフィルム文化存続をめざし、NPO法人FILMeを設立するも、その甲斐虚しく、八ミリフィルムの在庫も尽き、現像も終了、フィルム現像所の閉鎖、コダック本社倒産、と、フィルムにこだわる映画作家にとって、致命的な出来事が次々に襲い、フィルムでの映画制作の道が、ひどく険しいものになった。

其の間に、デジタルビデオカメラの方はといえば、その技術の向上は目覚ましく、映画の世界でも、映画をフィルムで制作する監督も、上映する映画館も、みるみる激減。

ビデオや、デジタルカメラしか知らない、フィルムを見たこともないという世代が、映画を撮りはじめ、フィルム=映画という図式自体が、いつのまにか成り立たなくなってしまった。

今回、一緒に映画『まほうのことば』を制作した、たおさちこ監督は、まさにその世代。

FILMeの主催する八ミリフィルムワークショップで、八ミリフィルムの持つ独特の質感に興味を持ち、子供たちが、夏休みに八ミリ映画づくりをする、というテーマに、果敢に取り組んでくれた。

子供たちはと言えば、はじめて見るフィルムカメラや、映写機に興味深々!
目をキラキラさせて、すぐに動かし方をマスター。『映画』の中の『映画づくり』を心から楽しんでくれた。

映画『まほうのことば』は、そんな八ミリ映画の魅力満載の作品となりました。

どうぞ映画の中の子供たちと共に、お楽しみくださいませ。

下北沢大学映像表現学部
+JAPANしもきたCINEMA
2014/10/12.13.19

映画の上映だけでなく、様々な方面のスペシャリストを招いた上映&講演&交流イベントとなります。

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